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CPU

CPUは現在でもノートPCの主要パーツで、日本での流通はほぼIntel,AMDの2社に限定されます。

CPUはCentral Processing Unitの略、中央演算処理装置とも呼ばれPCの頭脳であり、主要パーツです。

製造技術の進化と共に回路規模を増大できる一方、消費電力や熱密度の問題もあり、現在ではCPUそのものの進化よりも従来CPU外にあった機能のCPUへの統合が進化の大きな割合を占めています。

処理性能

CPUの処理性能は主に処理速度を持って語られます。できること自体はどのCPUでも大きくは違いませんが、その処理速度には非常に大きな差が付けられ、速度が遅いことによって実用に耐えないというケースが出てきます。

遅いというのは単に待ち時間が長くなるだけとは限りません。例えばゲームなどリアルタイムで一定の時間内に規定の処理を終えないとゲームとして成立しない場合などでは遅い=プレイできないということになりますし、動画表示の処理などもフレーム書き換えのタイミングに処理を間に合わせないとコマ落ちしてしまいますね。

処理性能を伸ばす主な手法は以下のようになります。

  • クロックを上げる
    CPUは数億~数十億ものトランジスタに一定のタイミングで信号(電力)を入力して結果を取り出します。この一定のタイミングが「クロック」 (Clock)あるいは「動作周波数」と呼ばれ、GHzやMHzの単位で表されます (1GHz=1000MHz)。このクロックが速ければ速いほどと処理能力は向上できますが、発熱や電子の移動速度など制限があるため近年では向上しにくくなっています。
  • コアを増やす
    CPUの中心となる塊をコアと呼びますが、これを複数搭載することでトータルで性能を稼ぐ手法です。1つのアプリケーションの処理速度としてはそのアプリケーションが複数コアへの対応をしていない限り性能向上には一切寄与しません。複数のアプリケーションを同時に動作させている場合はOSが適当に割り振ってくれるため、1コアの場合よりも複数コアの方が各アプリケーションの処理速度が向上します。例えば、現在では行いたい作業とは別にアンチウイルスソフトを常駐(常に動作状態におくこと)しなければなりませんが、複数コアの場合はそのようなソフトの動作の影響が少ない状態で目的の作業が行えます。
  • 特定の機能に特化する
    良く使われる機能や従来苦手としてきた機能に対して特化した回路を新設することで性能を稼ぐ手法です。よく着目されるのが浮動小数点演算機能で、画像処理やベクトル演算などの用途で大量の演算を必要とされる一方、複雑で大きな規模の回路が必要となるため時代の進化とともに増強され続けている部分です。その他、暗号化/復号機能や仮想化支援機能など特化した機能を搭載すると処理性能が飛躍的に向上します。
  • コアそのものを改善する
    いかにスムーズに演算やデータのやり取りを進行して行くか。CPUはこれを実現するために創意工夫を積み重ねたものです。ソフトウェアがどのような処理を行おうとしているか、その傾向を鑑みながら効率最適化を施します。必ずしも成功する改善ばかりとは限らず、時流の読み間違えや想定と異なる物理的事象などによって理想的な処理速度を出せない製品になってしまうこともままあります。
  • キャッシュを改善する
    上記コアの改善に含まれる部分でもありますが、別記します。CPUはメモリから命令やデータを読み取って結果を返すものですが、CPUから見るとメモリの速度は非常に遅いもので、常にメモリと直にやり取りしていたのではメモリの遅さに足を引っ張られてしまいます。そこで、キャッシュと呼ばれる容量は少ないが速度の速いメモリを仲介させることで処理速度を向上させます。現在ではL1(一次),L2(二次)キャッシュを搭載するのは当たり前。製品によってはL3(三次)キャッシュ(あるいはラストレベルキャッシュなどとも呼ばれます)も搭載しています。一般的に次数が少ないほど容量が少ない代わりに高速です。

PCでは寿命よりも性能が不足になることによって更新(買い替え)されることが多かったのですが、近年では性能の延びが鈍化、一方、ソフトウェアの方でも処理性能要求の高まりが鈍化してきているため、性能だけで見て買い替える必要性はかなり薄まってきています。現在では性能一辺倒だった従来から視点を変えて、省エネやカッコ良さ(薄型化)などに力点が移ってきています。

省電力性能

もう一つの性能の指針として省電力性能が挙げられます。CPUは仕事をすればするほど電力を消費するものですが、仕事をしていなくてもある程度電力を消費してしまいます。仕事をしてもしなくても極力消費電力を抑えることはエコという観点でも大事なことですが、とりわけノートPCにおいてはバッテリー駆動時間に直接影響してくるものですので、特に重要視されます。

省電力性能を伸ばす主な手法は以下のようになります。

  • クロック・電圧を下げる
    CPUは常に最大限の仕事をしているわけではありません。むしろ、一般的な作業用途ではほとんどの時間でCPUは暇にしています。そこで、CPUが暇な時間はクロック(動作周波数)を下げます。同時に駆動電圧を下げることが可能ですので消費電力は大幅に節減することができます。
  • 部分的に電源を切る
    暇ならいっそ休んでしまおうということでどこまで休むかの状態を幾つか規定して仕事をしないときはなるべく休むように制御します。Cnステートとか呼ばれるものがそれです。現在はC6ステートまで量産化されています。一方、機能別に休ませる場合もあり、機能単位でこまめに電源ON/OFFするものでPower Gatingなどと呼ばれます。
  • コアそのものを改善する
    コアの設計そのものを省電力の観点で効率化します。また、最大動作周波数のターゲットも設計時点から省電力を意識して低めとし、回路も製造も省電力に向けたものとします。IntelではAtom、AMDではEシリーズの1xxx番台以下とCシリーズ、Zシリーズが該当しますが、ノートPCという括りの中では省電力な部類というだけで、スマートフォンなどに搭載されるCPUからするとこれらでも高速で高消費電力な部類です。もう2世代(4~5年)くらい進むとスマートフォン並に省電力なノートPCも成立し得うることが予想されます。

かつては製造技術が消費電力を抑える鍵でしたが、現在ではそれだけでは不足で、設計技術も駆使しないと消費電力は抑えられません。そのため、省電力性能すら製品差別化の標的とされることがあります。つまり、性能の劣る、もしくは、安いCPUの消費電力が少ないとは言い切れない状況になっています。

また、製造の精度やブレにより素性の良いものは高価格の製品に回されますので、安いCPUは消費電力の点でも不利な傾向にあります。

熱設計電力

「TDP」(Thermal Design Power)と呼ばれますが、これはCPUを正常に動作させるために必要な冷却(廃熱)能力を示しています。例えばTDP35WとされているCPUでは常に35Wの熱量を発したとしても正常に動作できるようにヒートシンクやファンなどを設計しなければなりません。別の見方をするとノートPCにとっては小さく(薄く)軽く作ることの難易度を指し示しているとも言えます。一方でこれは省電力性能にはそれほど関連がありません。実際にCPUがTDPの値ほどの熱量を発生させるケースはそれほど無いからです。

このTDPの値はCPUの最大消費電力にわりと近い値ではありますが、実際にはグレードによる差も出ますし、個体差もあります。一方で筐体側の方はそんなに多くのバリエーションに対応することはコスト的に不可能ですので、ある程度の範囲の製品は一括りにまとめられて同じTDPにされます。

現在Intelでは 55W, 45W, 35W, 25W, 17W, 8.5W, 6.5W, 5.5W, 3.5W, 3Wといったところで、主流となるのは35W、次いで17Wです。10W未満の製品ではタブレット/スレートPCにも対応するため細かく設定が分かれます。AMDはシェア的にあまり独自路線を突っ走る訳にはいきませんので、基本的にはIntelの分類を踏襲しようとしますが、製品によっては踏襲できない/しない場合もあります。現在AMDでは 45W, 35W, 25W, 18W, 9W, 5.9Wといったところです。主流はやはり35W、18Wですが、日本ではAMDノートPCの流通量そのものが少なく、例外的に成功を収めている18Wクラスが一番見受けられるようになっています。

差別化

処理性能を伸ばす工夫や消費電力を抑える工夫をどれだけ採用するかによってCPUは差別化され、多くのグレードが存在しています。その差別化要因は主に以下のようになっています。

  • コアそのものが異なる
    一番大きな差別化がこれになります。現時点では主にターゲットとなる消費電力枠で振り分けられます。IntelではCore i7, i5, i3、Pentium、Celeronが同一コアとされTDP17W~55Wの範囲を担っています。10W以下の範囲ではAtomとなり、全く別のコアとなります。AMDではAシリーズ、Eシリーズの3xxx番台が同一コアとされTDP35W、45Wの範囲を担っています。Eシリーズの1xxx番台以下とCシリーズ、Zシリーズが上記とは別の同一コアでEシリーズはTDP18W、CシリーズはTDP9W、ZシリーズはTDP6W未満となっています。
  • 特定機能の非採用
    特定機能が実装されている同じコアであっても、特定機能を無効として差別化します。これは特にIntelが好んで取る手法で、例えばコアが遊んでいる時間に別のコアのフリをすることで見かけ上のコア数を増やし、処理効率を高めるというHTT (Hyper Threading Technology)という機能がありますが、Pentium、Celeronでは無効にされています。その他、様々な機能がグレードによって無効化されていたりします。困ったことに全ての機能が有効となっている製品が発売されないというケースもあり、ノートPCではAtomがそれに該当しています。AMDはシェアや基本性能など様々な点で余力が無いため、機能無効化による差別化はほとんど行いません。
  • コア数が異なる
    ノートPCでのコア数の主流は2コアとなっていて、これは作業者が実行したい処理以外に、作業者の意思に関わらずPCの管理として実行したい処理が必ずある現状では一番合理的です。それ以上に処理能力を欲する場合は4コア。廉価版の中には1コアの製品が残っています。IntelではQXやQMなどQが付くCPUは4コアの製品です。反面、CeleronとAtomの一部には1コアの製品があります。AMDではA6-3400M以上のCPUが4コア。E,Cシリーズの一部に1コアの製品が残っている場合があります。
  • キャッシュ容量が異なる
    これはCPUの差別化としては良く行われる手法です。同一コアのCPUでL1(一次)キャッシュが差別化されることはありませんが、L2(二次), L3(三次)キャッシュの容量はコア数やグレードによって差別化されます。同一コアではキャッシュ容量が多い方が実メモリとのやり取り待ち時間を隠蔽できその分CPUの処理速度向上が期待できますが、比較的単純な処理を大量に行うような処理、あるいは非常に複雑な処理を行う場合などではほとんどキャッシュ容量の影響が出ないケースもあります。
  • クロックが異なる
    最も差別化をしやすいのが、これ。動作周波数をそのコア本来の限界よりも意図的に低く制限することで差別化します。メーカーの販売戦略上、四半期もしくは半期毎にあらゆるグレードの動作周波数を一段階引き上げて新製品効果を煽るのは常套手段となっています。しかし、他社競合のバランスが崩れると一方は余裕があり過ぎて動作周波数を引き上げる必要が生じなくなり、一方は動作周波数を引き上げたくてもマージン不足で引き上げられないという事態に陥ります。

全般的にIntelの方が極端な差別化を行っておりますが、シェアが非常に大きく、あらゆるニーズにフルラインアップで対応するという意味では当たり前とも言えます。現在のラインアップでは比較的Core i3とPentiumの間に大きな差別化が感じられるため、予算に余裕があるならCore i3以上の選択をオススメします。Atomは2xxx番台の登場を待つのがベストです。

AMDの方はシェアが少なく、ラインアップの範囲も狭い状況で、特に2011年現在においてCPUの処理性能は結構Intelに引き離されてしまっている感があります。4コア製品の導入に積極的ですが、クロックがかなり低くなってしまうためトータルの処理能力が2コアに比べて大きく向上しているとは言い難くCPU単体性能の競争は捨てている感もあります。一方でGPU性能も含めて考えるとIntel製品とは異なる性能バランスとコストパフォーマンスの良さで一定の地位を獲得していて、特にEシリーズは日本でも割りと多くの搭載製品を見ることができます。

処理性能と消費電力のバランス

同じ製造技術、同じ設計技術で作られたCPUで処理性能を伸ばそうとするとその消費電力は処理性能の伸び以上に増大してしまいます。そのため、最近のCPUでは性能が必要とされない時はクロックや駆動電圧を落として省電力化する他、使用しない部分を使用しない時にこまめに電源OFFするような回路を組み込んだりして省電力化に努めています。

結果として同じコアで同じコア数のCPUであればアイドル時(CPUが仕事をしていない時間)の消費電力に大きな違いは生じなくなっています。一般的な作業では90%以上がアイドルと言われますので、アイドル時の消費電力に大きな差が生じないということはバッテリー駆動時間に大きな差が生じないということでもあります。

大雑把に言うとアイドル時はどのCPUでも変わらないため、最高処理性能がどれだけ欲しいかという点だけを見てCPUを選択して良いということです。

そのため、最近ではモバイルノートPCと呼ばれるようなノートPCの中でも比較的小型な製品でも小型製品向けにTDPを抑えたCPUではなく、通常電圧版と呼ばれるTDP35WのCPUを搭載するケースが増えています。

ただし気を付けたいのが、IntelのCPUでは省電力機能についても差別化することがあるためアイドル時の省電力性能に劣るCPUが流通している可能性があるという点です。特にCeleronとAtomは要注意ですので、気になる方はバッテリー駆動時間を良く比較すると良いでしょう。

今後は筐体の廃熱設計がより重要に

Turbo Boost、あるいは、Turbo COREなどと呼ばれる限定的オーバークロック機能を搭載するCPUが増えてきています。この機能は複数コアを持つCPUで各コアの使用状況に偏りがある場合に使用率の高いコアのみをTDPの範囲内で定格より高い動作周波数で駆動する機能です。

この機能が将来的に拡張されて、十分に冷えている状態であれば一時的にTDPを超えてでもオーバークロックを行う方向に進化することが確定的となっています。

これが意味するところは同じグレードのCPUを搭載したノートPCであっても廃熱機構の優劣によってオーバークロックされる度合いが変わり得る、つまり、最大処理性能に差が生じる可能性があることを示唆しています。

今後はCPUのグレードだけでなく筐体設計の優劣も考慮に入れて製品選びをすることが大事になってきます。

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