CPUは現在でもノートPCの主要パーツで、日本での流通はほぼIntel,AMDの2社に限定されます。
CPUはCentral Processing Unitの略、中央演算処理装置とも呼ばれPCの頭脳であり、主要パーツです。
製造技術の進化と共に回路規模を増大できる一方、消費電力や熱密度の問題もあり、現在ではCPUそのものの進化よりも従来CPU外にあった機能のCPUへの統合が進化の大きな割合を占めています。
CPUの処理性能は主に処理速度を持って語られます。できること自体はどのCPUでも大きくは違いませんが、その処理速度には非常に大きな差が付けられ、速度が遅いことによって実用に耐えないというケースが出てきます。
遅いというのは単に待ち時間が長くなるだけとは限りません。例えばゲームなどリアルタイムで一定の時間内に規定の処理を終えないとゲームとして成立しない場合などでは遅い=プレイできないということになりますし、動画表示の処理などもフレーム書き換えのタイミングに処理を間に合わせないとコマ落ちしてしまいますね。
処理性能を伸ばす主な手法は以下のようになります。
PCでは寿命よりも性能が不足になることによって更新(買い替え)されることが多かったのですが、近年では性能の延びが鈍化、一方、ソフトウェアの方でも処理性能要求の高まりが鈍化してきているため、性能だけで見て買い替える必要性はかなり薄まってきています。現在では性能一辺倒だった従来から視点を変えて、省エネやカッコ良さ(薄型化)などに力点が移ってきています。
もう一つの性能の指針として省電力性能が挙げられます。CPUは仕事をすればするほど電力を消費するものですが、仕事をしていなくてもある程度電力を消費してしまいます。仕事をしてもしなくても極力消費電力を抑えることはエコという観点でも大事なことですが、とりわけノートPCにおいてはバッテリー駆動時間に直接影響してくるものですので、特に重要視されます。
省電力性能を伸ばす主な手法は以下のようになります。
かつては製造技術が消費電力を抑える鍵でしたが、現在ではそれだけでは不足で、設計技術も駆使しないと消費電力は抑えられません。そのため、省電力性能すら製品差別化の標的とされることがあります。つまり、性能の劣る、もしくは、安いCPUの消費電力が少ないとは言い切れない状況になっています。
また、製造の精度やブレにより素性の良いものは高価格の製品に回されますので、安いCPUは消費電力の点でも不利な傾向にあります。
「TDP」(Thermal Design Power)と呼ばれますが、これはCPUを正常に動作させるために必要な冷却(廃熱)能力を示しています。例えばTDP35WとされているCPUでは常に35Wの熱量を発したとしても正常に動作できるようにヒートシンクやファンなどを設計しなければなりません。別の見方をするとノートPCにとっては小さく(薄く)軽く作ることの難易度を指し示しているとも言えます。一方でこれは省電力性能にはそれほど関連がありません。実際にCPUがTDPの値ほどの熱量を発生させるケースはそれほど無いからです。
このTDPの値はCPUの最大消費電力にわりと近い値ではありますが、実際にはグレードによる差も出ますし、個体差もあります。一方で筐体側の方はそんなに多くのバリエーションに対応することはコスト的に不可能ですので、ある程度の範囲の製品は一括りにまとめられて同じTDPにされます。
現在Intelでは 55W, 45W, 35W, 25W, 17W, 8.5W, 6.5W, 5.5W, 3.5W, 3Wといったところで、主流となるのは35W、次いで17Wです。10W未満の製品ではタブレット/スレートPCにも対応するため細かく設定が分かれます。AMDはシェア的にあまり独自路線を突っ走る訳にはいきませんので、基本的にはIntelの分類を踏襲しようとしますが、製品によっては踏襲できない/しない場合もあります。現在AMDでは 45W, 35W, 25W, 18W, 9W, 5.9Wといったところです。主流はやはり35W、18Wですが、日本ではAMDノートPCの流通量そのものが少なく、例外的に成功を収めている18Wクラスが一番見受けられるようになっています。
処理性能を伸ばす工夫や消費電力を抑える工夫をどれだけ採用するかによってCPUは差別化され、多くのグレードが存在しています。その差別化要因は主に以下のようになっています。
全般的にIntelの方が極端な差別化を行っておりますが、シェアが非常に大きく、あらゆるニーズにフルラインアップで対応するという意味では当たり前とも言えます。現在のラインアップでは比較的Core i3とPentiumの間に大きな差別化が感じられるため、予算に余裕があるならCore i3以上の選択をオススメします。Atomは2xxx番台の登場を待つのがベストです。
AMDの方はシェアが少なく、ラインアップの範囲も狭い状況で、特に2011年現在においてCPUの処理性能は結構Intelに引き離されてしまっている感があります。4コア製品の導入に積極的ですが、クロックがかなり低くなってしまうためトータルの処理能力が2コアに比べて大きく向上しているとは言い難くCPU単体性能の競争は捨てている感もあります。一方でGPU性能も含めて考えるとIntel製品とは異なる性能バランスとコストパフォーマンスの良さで一定の地位を獲得していて、特にEシリーズは日本でも割りと多くの搭載製品を見ることができます。
同じ製造技術、同じ設計技術で作られたCPUで処理性能を伸ばそうとするとその消費電力は処理性能の伸び以上に増大してしまいます。そのため、最近のCPUでは性能が必要とされない時はクロックや駆動電圧を落として省電力化する他、使用しない部分を使用しない時にこまめに電源OFFするような回路を組み込んだりして省電力化に努めています。
結果として同じコアで同じコア数のCPUであればアイドル時(CPUが仕事をしていない時間)の消費電力に大きな違いは生じなくなっています。一般的な作業では90%以上がアイドルと言われますので、アイドル時の消費電力に大きな差が生じないということはバッテリー駆動時間に大きな差が生じないということでもあります。
大雑把に言うとアイドル時はどのCPUでも変わらないため、最高処理性能がどれだけ欲しいかという点だけを見てCPUを選択して良いということです。
そのため、最近ではモバイルノートPCと呼ばれるようなノートPCの中でも比較的小型な製品でも小型製品向けにTDPを抑えたCPUではなく、通常電圧版と呼ばれるTDP35WのCPUを搭載するケースが増えています。
ただし気を付けたいのが、IntelのCPUでは省電力機能についても差別化することがあるためアイドル時の省電力性能に劣るCPUが流通している可能性があるという点です。特にCeleronとAtomは要注意ですので、気になる方はバッテリー駆動時間を良く比較すると良いでしょう。
Turbo Boost、あるいは、Turbo COREなどと呼ばれる限定的オーバークロック機能を搭載するCPUが増えてきています。この機能は複数コアを持つCPUで各コアの使用状況に偏りがある場合に使用率の高いコアのみをTDPの範囲内で定格より高い動作周波数で駆動する機能です。
この機能が将来的に拡張されて、十分に冷えている状態であれば一時的にTDPを超えてでもオーバークロックを行う方向に進化することが確定的となっています。
これが意味するところは同じグレードのCPUを搭載したノートPCであっても廃熱機構の優劣によってオーバークロックされる度合いが変わり得る、つまり、最大処理性能に差が生じる可能性があることを示唆しています。
今後はCPUのグレードだけでなく筐体設計の優劣も考慮に入れて製品選びをすることが大事になってきます。
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