メモリは不足であれば処理速度が遅くなりますが、必要以上にあっても一定以上速くはなりません。
メモリは動作遷移中のデータを保持しておくパーツで、電源を断つとデータは消滅してしまいますので、保存すべきデータは最終的に全てストレージ (HDD/SSD)に移動されます。メモリはCPUやGPUに比べて非常に遅いですが、ストレージに比較すると逆に非常に速いパーツであるため、演算途中のデータや頻繁に読み書きするデータはメモリを使用するようにプログラムされていることが一般的です。
メモリが不足していてもストレージが肩代わりをしてくれるため動作に支障が出ることはあまりありませんが、処理速度は格段に遅くなります。逆に、メモリ容量が十分にあれば非常に遅いストレージへの読み書き頻度を減少させることができますのでノートPC全体の処理速度向上に寄与します。
2011年現在において、メモリの規格は安定期とも言え、DDR3に統一されている状況です。規格の乱立がされない上に次世代規格も本格的な普及の予測が2015年とされていることから、メモリに関しては迷う必要がありません。価格も非常に安価な状況が続いています。
とはいえ、ずっと進化しないわけにも行かず、ゆっくりですが次第に主流となるクロック(動作周波数)が高速化して行きます。一方で同じDDR3の規格でも電圧を下げて省電力化しようとする動きもありDDR3Lなど呼ばれますがこれは今後普及が期待されるもので、より一層バッテリー駆動時間が延長できるようになるでしょう。
一般的にはOSやらアンチウィルスソフトなど、作業者が実行したいアプリケーションとは別に必要とされるメモリ容量と、CPU統合型GPUではGPUにもメモリが使用されることを勘案すると最低でも2GBは欲しいところですが、現在メモリは安価ですので4GBあるいは8GB搭載しても全く損はありません。
厳密には消費電力が増大しますが、ストレージへの読み書き頻度が減少できるなら相殺できる可能性もあります。
とはいえ、選択によってはメモリ容量に制限があったり、大量のメモリを搭載しても有効に機能しないケースがあります。
ハードウェア的に一定以上のメモリ容量を扱えない場合があります。CPUが扱えない場合とマザーボード設計上扱えない場合があります。また、メモリが既に実装されていて増設ができなかったり、メモリスロットが1つしかなくて実質的に増設が不可能な場合があります。これらの制限の多くは超小型向けなど絶対的な性能が低い場合に、あるいは低価格向けということで制限されていることが主体です。
CPUによる制限ですとIntelのAtomでは2GBが上限になります。次世代のN2800では4GBが上限になりますが、N2600では上限が2GBに据え置かれます。
また、最近流通し始めた1枚で8GBの容量を持つメモリモジュールはCPUにより認識できない場合があるだけなく、マザーボード設計によって認識できなかったり最大容量まで使用できない可能性がありますので、注意が必要です。
Windowsには同じエディションでも32Bit版と64Bit版がありますが、32Bit版がインストールされている場合は最大でも4GBまでしかOSからは扱うことができません。しかも、その4GBというのは実際にはアドレス空間として4GBという制限であって、4GB全てがメモリのために割り振られているわけではありません。各種デバイス用に割り振られていたり、GPUが使用するメモリに割り振られていたりするため、実質通常のメモリとして使用されるのは3GB前後となり、割り振られない残りの容量は使用されないということになります。
だからといって無駄にならないよう3GB分のメモリを装着しようとするのは2011年現在においては全く無意味です。価格的にほとんど差が無い上、場合によっては性能を損なう可能性があるためです。これについてはまた後述します。
32Bit版のOSで4GBを超える容量のメモリを搭載することが100%無駄であるとは限りません。CPUやマザーボードなどが4GBを超える容量でも正常に認識できている場合は、単にOSが扱える領域が4GBに制限されているだけです。OSが扱えない領域をRAM Diskとして扱えるようにしてくれるソフトウェアがあり、それを使用すると電源が入っている間はストレージと同じ扱いができるようになります。これが何に有効かと言うと、音声編集ソフトや画像・動画編集ソフトなどで一時的に中間ファイルの読み書きを大量に行うような場合にRAM Diskを中間ファイル読み書き場所として指定することで処理速度を飛躍的に向上させることができます。ストレージに対する読み書きの待ち時間がメモリ読み書きの待ち時間レベルに短縮されるためで、大量のデータを読み書きするほどその差は顕著になります。ストレージとして見ると絶対容量が少ないのに注意を払う必要がありますが。
(筆者はノートPCではありませんが、32Bit OSに8GBメモリを搭載して、約4.6GBをRAM Diskとして使用しています。)
現在、メモリへのアクセスは同時に64bit行えるようになっていますが、このメモリアクセス系統を2本持つことで実質倍のメモリアクセス能力を獲得できる場合があり、これをデュアルチャンネル (Dual Channel) などと呼びます。
これを実現するにはまず、CPUが対応していることが必要です。IntelではCore i7, i5, i3, Pentium, Celeronまでが対応でAtomは対応しません。AMDではAシリーズとEシリーズの3xxx番台以上が対応で、Eシリーズでも1xxx番台以下やCシリーズ, Zシリーズでは対応しません。
そして、メモリモジュールが2つ搭載できることが必要です。多くのノートPCではメモリスロットが2つ用意されていますが、まれに1つの場合があります。1つの場合でも既に1つのモジュールがマザーボード上に直接実装されている上に拡張用として用意されている場合は都合2つ搭載できることになりますので大丈夫です。
デュアルチャンネルで使用する場合は極力2つのメモリモジュールが同等に近いものが好ましいです。2枚セットで売られているものは同容量で同ロットのシリアルNo.連番だったりしますので一番問題が出にくくオススメですが、そうでなくても出来る限りスペックや容量を揃えた方が問題が起きにくいです。ですので3GBにするくらいなら2GBを2枚で4GBとした方が良いです。もしくは4GBを2枚で8GBが無難です。
デュアルチャンネルが有効になると、メモリアクセスでCPUやGPUが待たされる時間が短縮されますので、結果として処理速度の向上に繋がります。デュアルチャンネルに対応しているが、メモリスロットが1つ空いているような製品ではメモリを増設するだけでパフォーマンスアップします。
2011年のノートPCでの主流はDDR3-1333でPC3-10600とも呼ばれます。ざっくり言ってこの数字の大きい方が速いものです。より高性能なCPUではDDR3-1600 (PC3-12800)に対応している場合もあります。逆に廉価なCPUや低消費電力向けCPUではDDR3-1066 (PC3-8500)、もしくはDDR3-800 (PC3-6400)の場合もあります。
これらはCPUとして正式対応しているメモリの規格を表していて、実際にどの規格で動作するかはノートPCメーカー側で決められます。ですので、CPUとしてはDDR3-1333に対応しているが、DDR3-1066で動作しているという機種もありえます。
大抵のメモリは下位の規格でも動作するようになっています。(まれになっていない製品もあるようですが。)DDR3-1066で動作するノートPCにDDR3-1333のメモリを搭載しても大抵はDDR3-1066として動作してくれるということです。
逆にDDR3-1333で動作するノートPCにDDR3-1066のメモリを搭載すると、大抵はDDR3-1066として動作しますが、最悪は起動しません。混載すると遅い方の速度に統一されます。
ですので、メモリを増設する際はノートPCのスペックと照らし合わせて同じ規格のものを選択するのが精神衛生上は一番良いですが、上位規格のものであってもだいたい大丈夫です。
(特にIntel AtomなどDDR3-800で動作しているノートPCのメモリ増設しようとしてもDDR3-800のメモリ単品なんてそうそう見かけません。)
メモリの換装・増設については多くの製品で取扱説明書に記載されているかと思いますが、電源を完全に切る、バッテリーも抜く、静電気に気をつけることが大切です。できれば手脂や塩分が付かないように、また、特に端子は触れないか、接触不良を起こさないように掃除してください。まれにメモリの換装や増設を行っただけでも保証対象外となるメーカーもあるようです。
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